令和7年度第1回いすみ市DMO観光地経営戦略会議/2025年10月27日(月)
【各種調整実績による効果検証および今後の課題共有】
- プロモーションと情報発信の【重複】調整報告
① 従来の課題(重複状況)
・市の水産商工観光課(旧観光協会・フィルムコミッション)、企画政策課(いすみ暮らし・住みたい田舎PR)、農林課(有機農業・オーガニック給食PR)、夷隅東部漁協・港の朝市協同組合(港の朝市・土曜マーケット・グルメPR)が、個別の予算とアカウントで発信。
・ターゲット視点で情報が分散し、「いすみでのグラデーションな日常」の全体像が伝わっていなかった。
② 調整実績と定性的効果(統合成果)
・戦略会議での協議を経て、縦割り発信の予算とアカウントをDMOへ一元化。
・「自然と繋がる暮らしへの旅~都心から一番近い、里山里海のシェアリング・ローカル~」という共通メッセージのもと、ストーリーを統合。既存の移住ブランドを多拠点居住・インバウンド文脈に再編した「ライフスタイル雑誌型」の発信へ一本化。
・[検証結果]各課・団体の重複投資が排除され、宣伝コストの最適化と、統一ブランドによる発信力の最大化を両立できることが分かった。
③ 今後の課題
・各ステークホルダーが持つ既存フォロワー・会員データのスムーズな移行。
・インバウンド層に向けた多言語化対応のクオリティ担保。 - 宿泊事業者と地元生産者のサプライチェーン【不足】調整報告
① 従来の課題(不足状況)
・民泊や一棟貸し事業者は地元食材を調達したいが、個別発注の手間やロットの不安定さから、市外の大手ECや大型スーパーに依存(地域経済の漏出)。
・地元農家・漁協・直売所等は、少量ずつの個別配送に対応する人手がないため取引に至らず。需要と供給を繋ぐ「中間の流通・発注インフラ」が致命的に不足していた。
② 調整実績と定性的効果(新規構築成果)
・DMOが「予約用」として開発予定であるWebアプリ「いすみコモンズ・パス」の仕様を変更予定。
・アプリの裏側に「地域BtoB受発注システム」の構築を組み込む案を提案。DMOが発注の一括受託と集荷配送ルートのハブ機能を担う方向性で合意。
・[検証結果]宿泊事業者の仕入れストレスを逓減させながら、これまで外部へ流出していた観光受益を市内の小規模生産者まで行き渡らせる「地域内経済循環サプライチェーン」の基礎を構築する。
③ 今後の課題
・DMOが物流ハブを担うにあたっての、実物流コスト(配送人員・車両等の委託)の採算性確保。
・季節ごとの農水産物の収穫量変動(ロットのブレ)をシステム上でどう調整・吸収するか。 - 二次交通における【重複・競合リスク】と足の【不足】調整報告
① 従来の課題(重複・競合と不足の混在)
・いすみ鉄道の運休影響により、主要駅から里山エリアへの「足の不足」が致命的となった。
DMO側で「全面的な公共ライドシェア導入」を検討した際、既存のタクシー・バス事業者から「平日の限られたビジネス需要や特定ルートで競合する可能性がある」との声が挙がる。
② 調整実績と定性的効果(役割の切り分け・空白地帯の補完)
・データを基に、「タクシーが稼働していない夜間・早朝」「既存路線バスが通らない里山深部ルート」「週末夜の民泊への直行送迎」など、既存事業者が対応しきれない「交通の空白地帯・時間帯」を定量的に特定。
・DMOの公共ライドシェアはこれら「不足エリア・時間」の補完に対応。駅前からの通常回遊は既存タクシー利用を促すため、超小型EV・電動自転車による「分散型サステナブルMaaS」を配備予定。
・[検証結果]既存事業者との取組の重複を回避し、地域の合意形成を得ながら、移動インフラ全体の網羅性とサステナビリティを強固に向上させた。
③ 今後の課題
・ライドシェア運行におけるドライバー(地域住民等)の確保と運行安全管理体制の構築。
・季節や天候による超小型EV・電動自転車の利用波動の平準化。 - 夜間運行の実施における調整報告
① 従来の課題
・夜間の二次交通不足と回遊性の制限: 観光客向けのナイトコンテンツ充実やインバウンドの夜間行動促進を目指すにあたり、夜間の移動手段(二次交通)の確保が喫緊の課題となっていた。
・夜間運行管理の負荷: 夜間運行を安全かつ円滑に実施するためには24時間体制の運行管理(トラブル対応、点呼、連絡調整等)が不可欠であるが、既存の地域交通事業者やDMO単独では、夜間の管理体制やコールセンター機能を維持するためのリソース(人材・設備)が不足していた。
② 調整実績と定性的効果
・外部専門事業者(JAF)との連携協議: 24時間体制のコールセンターおよびロードサービス網を各都道府県に有する一般社団法人日本自動車連盟(JAF)等との間で、夜間の運行管理委託に向けた具体的な協議を実施した。
・役割の切り分けの明確化(定性的効果)
• DMO・地域側: 運行ルートの設定、ナイトコンテンツとの連動、利用促進プロモーションを担う。
• 外部事業者(JAF等): 夜間の運行状況監視、事故・トラブル発生時のファーストレスポンス、利用者からの夜間問い合わせ対応を担う。
この役割分担により、地域側の夜間オペレーション負荷を最小限に抑えつつ、安全性を担保した運行管理体制のベース(基本方針)を策定できた。
・夜間空白地帯の補完に向けた足がかり(定性的効果): 公共交通が機能しなくなる「夜間の交通空白地帯」において、公共ライドシェアを活用した運行・管理手法の一定の方向性を見出せたことは、今後の持続可能な地域モビリティ構築に向けた重要な進捗となった。
③ 今後の課題
・初期投資および運営コストの圧縮: 事業者側から提示された運行管理委託料(初期投資である電話回線開通、必要備品の確保、およびランニング費用)と、本事業の想定予算との間に依然として大きな価格乖離がある。
・条件面の再調整と継続協議: 今後は、実務的な仕様の見直し(既存システムの流用や夜間特定時間帯への絞り込み等)によるコスト削減を模索する。また、国土交通省等の補助金活用や官民の費用負担割合の調整を含め、即時実現に向けた複数回の実務者協議を継続する。
令和8年度 第1回いすみ市DMO観光地経営戦略会議/2026年6月29日(月)
1.観光地経営戦略【令和8年度~令和11年度】)について
2.令和8年度事業計画について
Ⅰ. 事業背景と基本方針
運休中のいすみ鉄道や、各行政・民間セクターによる情報発信の縦割り化、地域内サプライチェーンの未整備に伴う経済的漏出に対処するため、DMOがハブとなり「プロモーションの一元化」「BtoB受発注インフラの構築」「分散型サステナブルMaaSの導入」を短期1カ年で集中的に推進する。
Ⅱ. 重点事業計画
- プロモーション・情報発信の一元化事業
・事業内容: 行政(水産商工観光課・企画政策課・農林課)および民間(漁協・朝市協同組合)が個別に運用していた予算・SNSアカウント・WebサイトをDMOに集約。
・コンセプト: 「自然と繋がる暮らしへの旅~都心から一番近い、里山里海のシェアリング・ローカル~」
・具体的施策:既存の移住ブランド(住みたい田舎10年連続1位等)を多拠点居住・インバウンド向けに再編。
・「ライフスタイル雑誌型」の統合WebメディアおよびSNS公式アカウントの開設・運用。
・主要KPI: 統合メディアの年間PV数、多拠点居住検討層の問合せ数、宣伝コストの削減率。 - 地域BtoB受発注プラットフォーム(いすみコモンズ・パス拡張)構築事業
・事業内容: 民泊・一棟貸し事業者(需要)と、地元小規模農家・漁協・直売所等(供給)を繋ぐ流通インフラの新規構築。
・具体的施策:開発予定のWebアプリ「いすみコモンズ・パス」の仕様を変更し、裏側に「地域BtoB受発注システム」を組み込む。
・DMOが発注の一括受託、および共同集荷・配送ルートの物流ハブ機能を担う。
・主要KPI: プラットフォーム加盟事業者数(宿泊・生産者双方)、地域内取引総額、外部EC依存度の低減率。 - 分散型サステナブルMaaS及び公共ライドシェア補完事業
・事業内容: いすみ鉄道運休に伴う足の不足解消と、既存交通事業者との競合回避を両立する移動インフラの整備。
・具体的施策:既存タクシー事業者の稼働外(夜間・早朝)、バス未配道路線(里山深部)、週末夜の民泊直行送迎に対応した「公共ライドシェア」の運行。
・主要駅前からの日中回遊用として、超小型EVおよび電動アシスト自転車による「分散型MaaS」の配備。
・主要KPI: ライドシェアおよびMaaSの稼働率、二次交通満足度。


